「…じゃあ、俺のエンジェ…ゴホン。遠山先輩は?」
「女男」
「彼女は女だぞ!?」
何故、男という単語が入るのだと大声で叫ばれた。うるさい。
「不満なら聞くな」
「あ、いや…でもそっか…確かに彼女男装してるもんな…それなら男女なんじゃね?あ、でも漢字にしたらだんじょって読めるから分かりにくいし…成る程。だからそう言ったのか…」
「まだ聞くのか?」
「あ、いや、ありがとうでした。律さんが大体生徒会メンバーに対するイメージ分かったから楽しかった。…あ」
「何だ?」
「律って会長は“会長”って呼ぶよな?珍しく皮肉要素入れないんだな?」
「…まぁ、アイツはな」
アイツと居る時は槙が楽しそうだから。
それに、認めたくはないがアイツは俺に似ている。
鬱陶しくて集まった周りの奴らを避ける事も
槙が学校に当分行かず、部屋へやって来た事も
自分以外の奴と付き合い始めたら距離を置く事も
―――似ているんだ。俺もアイツの立場なら確実に同じように行動している自信がある。
自分に似ている奴を貶すのは自分を貶す事と同義だ。
だから、必然と普通に呼んでいるのだろう。


