そして打ちひしがれながら律さんに一泊するとの連絡をした。
…こういう時って恋人に慰めてもらえば元気が出るんだろうか?
いやいや、何を俺は甘い考えをしているんだ。俺が撒いた種だし、律には関係ないし、それに俺は男なんだから。そんな甘ったれた事言ってらんないよな。だから可愛いとかまきたんとか呼ばれてしまうんだ。
しっかりしないと。
俺が泊まりたいと言ったんだ。律に余計な心配はかけたくない。
ああ見えて律は心配性だからな。
俺はケータイを操作し、律への通話ボタンを押した。
暫くして
『…はい』
あ、律さんだ。この不愛想な声はまさしく律さんだ。
それだけでテンションが上がってしまう俺。
俺は客間で1人、はしゃぎながら電話の向こうの人物の声に耳をこれでもかってぐらい傾ける。
「律!俺、今日帰らない事にしたから。明日帰る!」
うん、律の声で元気出た。だからちゃんと言えた。
それなのに
「…そうか」
どこか律の声は素っ気ない気がした。


