「…本当にすみませんでした…」
打ちひしがれての反省会。
「大丈夫よ、槙ちゃん。あの人は常連さんだから態度が少し大きくてそういった冗談も多い方なのよ。それにわざとそういう態度をとって相手の反応見て楽しんでるタイプだから…」
「いや、でも俺…あの後大声で歌っちゃいましたし…めちゃくちゃ笑われたし…なんか優しい頑張れ的な笑みなら俺もここまで落ち込みませんけど、お客の皆さん抹茶や水を盛大にむせてましたし…普通コレは場の空気を壊したって言うんですよね…すみません…レジの時も俺から皆さん顔逸らすんですもん…どうしよう…俺、たった1時間も満たない内でこの店の評判下げてしまいました…明日からこの店はこう言われるんです。“あぁ、雰囲気の悪い店…”って。俺だけが言われるなら良いですよ?でも、コレはエンジェルたん達の店の今後を…いえ、人生を左右する事になるんです。…歴史も何もかも俺のせいで、俺のたった一瞬で…(以下略)」
「槙、気にするな。それにあの1階まで聞こえた歌声、そこまでひどくなかったぞ。…音程以外」
「それもう全部アウトじゃないですか!」
「…まぁまぁ、元はと言えばこちらが慣れないお願いを槙君にしたんやから。気にする事あらへんよ」
優しくお父様はこんな俺の頭を撫でてくれた。


