「でも、ずっとそうやって皇に黙って涙隠して生徒会の仕事続けるの?」
「…俺と会長の接点は今やそれぐらいしかないから…辞めません」
俺の心臓がドクンと高鳴る。
何が“槙君今日も元気だねー”だ。真逆じゃないか。
…きっと園は俺に気付かせて欲しくてずっとあんな言葉をかけていたんだろう。
なのに俺がそのサインに全く気付かないから鈍感だと言ったんだ。
…なんて俺はバカなんだろうか。
全然、嫌われてなんかないじゃないか。
避けられてるんじゃなくて、俺に寂しい事を悟られないようにするため。
香川となんてラブラブするとか言ったのも俺を突き放すため。
それなのに、お前は…あんな切り方をした俺に、心の中で少しでも良いから一緒に居たいと願ってくれているのか。
あんなにも生徒会の勧誘を拒んでいた“槙”がそれを言うのか。
――――…こんな事を聞かされて俺が動かないわけがない。
俺は勢いよく扉を開け、“槙っ!”と叫ぶとうなだれている彼の腕を引っ張り、力強く抱き寄せた。


