「仕方ない。ちょっとこっちに来い」
そう言って咲は珍しく仕事が残っているにも関わらず、俺の腕を掴みどこかへ連れて行こうとする。
「仕事は良いのか?」
「…こちらの問題を解決した方が効率が良い」
…この問題は気持ち次第なので解決方法なんてない気がするのだが。
俺はどうしても槙を特別視してしまう。それは篠原が嫌がる類の方向でだ。
それを止めれば良いと言うかもしれないが、それが出来るなら今すぐやってもらいたい。
俺の容姿や権力に関係なく近づいてきてくれた奴は本当にアイツが初めてなんだ。そしてこんなに俺を振り回すのもアイツが初めてなんだ。
クソッ…
何故、俺じゃないんだ。何でアイツなんだ…
「着いたぞ」
そう言って俺が連れて来られた場所は
「…食堂?」
この時間は確かもう閉まっているはずなんだが…


