すると横から凄いため息を吐かれた。
「今の皇は本当に馬鹿な考えをしているな」
咲だった。
「…咲は園達みたいに帰らないのか?仕事は終わってるだろう?」
「いつもは俺たちの3倍の仕事量でも同時に仕事を終わらせるお前が不調だから、手伝ってやるために俺は残ってやてるんだ」
「…すまん」
しっかりしろ、俺。
仕事くらいきちんとこなさなくてどうする。
…今まで、こんな事、なかったはずなのにな…
いくらでも言い寄ってくれる奴なら居るのに、何で俺はあいつに惚れてしまったんだろうか?
阿呆らし。今更だ。
ま…篠原が、会長会長!と寄って来てくれた日がなんだかもう遠い。
「なぁ、咲」
「何だ?」
咲は顔を上げずペンを走らせながらも俺に応答してくれる。
俺はというと目の前にある紙にまだ何の署名もしていない状態だった。
「…篠原は、本当に俺を慕っていてくれたんだろうか…?」


