友達で居たい、なんて俺には言えない。
俺の好きな奴が俺とは違う奴に楽しそうに微笑んでいる所なんてコレ以上見たくない。
それならいっそ、何もかも業務上だけの関係に戻れば良いんだ。ただの先輩、後輩として、生徒会の一員として接すれば良いだけの話なんだ。
そうすれば期待も抱かなくて済む。愚痴も聞かなくても済む。…コレ以上、我慢しなくて済むはずだから。
俺がそう言うと槙は暫く俯いてポツリと呟く。
「…そうですよね…俺、会長に酷い事してたんですね…」
それからゆっくりと顔を上げた。その表情は“ニッコリと笑って”いた。
「すみません。俺は律が好きです。―――…だから月帝会長の気持ちには応えられません」
そう言うとさっきまでがウソだったかのように槙は静かに部屋を退出した。


