でも、瞬時に思い返す。
そう言えば今までの俺って好きとか愛してるとか平気で言ってたよなぁ…
だから律がそんな顔をするのも頷ける。
本当は今までの雰囲気とかムードとかで意味の違いに気づいて欲しいけど、ソレは贅沢というヤツなんだろう。
ホントは照れくさいけど。
隠される事が辛い事を知った。
それに何より好きな人に言いたい事があるなら直接言えと諭された。
ココで引き下がればいつも通りあの、楽しい学園生活が送れるに違いない。
だけど、そんな事は俺がもう望まない。
牛丼さんと話して確信してしまったから。
「…俺、キスされた相手が牛丼さんだって分かった時、こう思ったんだ」
あーあ…ホント俺ってバカだ。
「キスされた相手が律だったらなー…て」
「!」
いつもクールな律の表情が驚きの色に変わる。
そりゃあそうだ。
抱擁も、愛の言葉も、それは軽い友達として受け止める事が出来る。
でも、ココは日本で。
キスまでとなら話は別だ。


