そうして授業が終わり、無事に帰宅してみると、やっぱり律は居なかった。





「…やっぱりそうだよな…」





小説みたいにうまくはいかないんだ。
本来ならココは律が待ってて実は俺…的な展開が始まるはずだ。っていうかだから俺と律は親友であってそんなんじゃないんだって。あり得ないって。…あぁ、早く帰って来ないかな、律…


ただでさえ、妄想癖が激しいのにこんな一大イベントに遭遇したら、俺、思考が止まらないんですけど。辛いんですけど。



…あれ?



俺はいつものように部屋へ入ると、出て行くときに持って行ったはずの俺の荷物がポツンと置いてあった。


なんだかそれを見て無性に嬉しくなってしまう俺が居る。





―――――俺、ここに居ても良いんだ…




そう、言われてる気がして胸が急に熱くなった。





早く、律に会いたい…




俺はそうしてじっと荷物の前に座ったまま律の帰りを待つことにした。