「…というより、あの、そろそろ会長その拘束外してやったらどうですか?」
見知らぬ…というより少し見覚えのある彼は、先ほどの蹴りでさらに見るに堪えかねない格好になっていた。
まず、会長に隠れて見えなかったけど、実はロープでグルグルに縛られ、水槽に漬けられていた。いや、肩ぐらいまでだけど、色がね。水の色がね。おかしいんだよ。透明じゃないんだよ。…なんか赤いんだ。だからあまりにも恐くてその水槽はどっから運んだの?とか、どうやってセッティングしたの?とか、今までどんな事をしてたの?とか聞けなかった。
「何故だ?」
「…俺の目には刺激が強いです…」
いつか俺が姉貴に見せられる地獄絵図のように見えるから。
「…槙に感謝しろよ」
そう言いながらしっかりと縛られていた拘束具は会長の手によって外された。
…良かった。秋で。彼が長袖着てて。絶対あの下、内出血だらけだよ。
「…やっぱりまきたんは、俺を救ってくれるんだ…」
ドカッ
…アンタも学習しろよ。


