「槙君のためだからだよ」
え…?どういう、事…?
「槙君は律君に気付かないうちに守られているんだよ」
「………」
「メガネを彼が頑なに外させないようにするのは今回のような事件に発展させないため。妄想して緩んだ顔を見せないようにするために毎回律君は槙君に制裁を加えていたでしょ?」
でもその理由は後付でしかない。本来は俺が腐男子として地味に行動するためのものだった。だから先輩は間違っている。
そう、俺が言おうとしたときだった。
「最後に、」
と先輩が言う。
「城ケ崎先輩や皇があれだけ気に入っているのに何で今まで槙君に手を出さなかったか分かる?」
「…それは俺にそんな魅力がないからでしょう?」
「違うよ。正解は律君が君の傍でずっと牽制していたからだよ」
その瞬間、俺の胸がドクリと高鳴った。


