花峰先輩でないとしたら、一体誰なんだ。もう、容疑者が思いつかない。
あと、俺が考えられる可能性としたら…
①月帝会長
②律
③通行人A
―――…ほとんど可能性は0に近い人ばかりだ。
もはや③は可能性レベルの話ではない。屋上にどうやって通行人が来るんだ。ありえねーだろ。
そして①と②に関しては会長が律じゃね?とか言うから変に意識してるだけでそもそも2人は付き合ってんだから、何俺みたいなのと浮気しようとしてんだっていう問題に………しかもどっちが浮気したとしてても、俺、殺されちゃうじゃん。不可抗力でも殺されちゃうじゃん。相手、律と会長だろ?…うん、喧嘩弱くはないけど、あの人たちには勝てないよ。特に律。
会長は喧嘩とか殴られたりしてねーけど、命の恩人だから。恩人には逆らえない。会長が居なかったら、あそこで俺、寿命終わってたからね。
「…俺、会長と律、どっちに殺されますかね…」
「…さすがの僕でも槙君のそのぶっ飛んだ思考にはついていけないなぁ…僕でよければもう少し詳しく話してくれない?」
もう俺には頼れる人が居ない。
だけど、こうして手を差し伸べてくれる優しい先輩が居る。
俺は今のどうにもならない、むしろどうして良いのか分からない状況を先輩にぶちまける事にした。…何を話したのかは分からないぐらい無茶苦茶に話したけれど、先輩は俺が話し終えるまで黙って頷きながら聞いてくれた。


