「…でも、僕はダメなんだよ。本気にとられない」
先輩はまたもや優しく微笑む。
「…僕は、昔から友達を作るのが下手だったんだ。だから今でも一緒に居てくれる皇たちには感謝してる。…それで、僕は皇達に頼ってばかりではダメだって思った。皇や葉が傍に居てくれる事に甘えてたらダメだって…」
きっと女子にモテてたんだろう。中学の時は会長たち、共学だったみたいだし。
それで女子の友達は出来ても男子の友達は出来なかった。…そりゃあ、異常なほどに貢がれてモテたら僻む人は僻む。だけど、花峰先輩レベルの人が他に3人居た。だから友達になったんじゃないだろうか。
…そこまで詳しくはまだ調べていないけど大体想像はつく。
…ちょっぴり彼らと同学年の人には同情するよ。男として。
「そうしたら、本で人との関わり方においてわだかまりを少なくする方法は笑顔だと学んだんだ。だからずっと練習して―――…練習するうちに…笑う事しか出来なくなった」
あ…だから先輩は…
「…馬鹿だよね。笑顔にも“使い時”ってあるのにね。その頃は―――そんな事にも気付けなかったんだ…」
それほど、先輩は友達が欲しかったって事だろ?
それを誰が馬鹿なんて言うんだ。
「クス…槙君、優しいね。こんな阿呆な話を聞いて君がそんな辛そうな顔する必要ないんだよ?むしろここは笑うところなのに」


