「…先輩はそんなにも美しい世界を持ってるじゃないですか…」
「…え?」
「俺、今先輩に本気で見惚れましたよ。―――こんな経験初めてです」
副会長の遠山先輩を見た時とはまた違う何か。
だけど、一瞬、先輩が閉じた瞼を広げただけで周りの花が華やいで――色づいて見えた。
「…そっか。槙君の魅力はそこにあるのか」
「…え?」
自分には疎いくせに、他人の事は良く分かるんだ、この人は。
だけど、…俺の魅力?
「僕はそんな所に―――励まされたんだ」
本当にこの人はきれいに笑う人だ。
「僕と違っていつも本気で訴えかけてくれる、ウソが吐けない人なんだね」
へ?
…コレは貶されてる?褒められてる?
俺、別にウソいっぱい吐けるし。なんでかバレるけど吐けるし。ポーカーとかやったらきっと得意だし。大人だし。それのどこがウソ吐けない人になるんだろうか?
というより、それなら、
「先輩だってウソ吐かないじゃないですか」
だって俺の質問にはいつも正直に答えてくれてたじゃないか。


