俺は、そんな先輩に何を言えば良いのか分からなくて、気付けばどうでも良い事を口走ってしいた。
「…先輩、今日は1人なんですか?」
「…うん。今日はそういう気分だったから…皆のお誘い断っちゃった。せっかく仲良くしようとしてくれたのにね」
―――やっぱり、違う。
そんな事ないのに。
「…先輩が考える“魅力のある人”ってどんなだと思いますか?」
「そうだなぁ…やっぱりカッコ良くて頼りになる、力強い人じゃないかな…僕とは正反対の人」
そうして彼はまたもや微笑む。
「…でも、槙君は魅力あるよね…凄いなぁ…僕、槙君の事は可愛いとしか感じた事ないのに」
おい、どういう意味だコラ。
「…やっぱり何かが僕には足りないんだろうなぁ…」
そうして先輩は青く澄んだ空を見上げた。
その姿は、息をのむほど、美しいものだった。


