「うあー…」
只今会長の部屋の前に到着。
だけど、俺は思わず佇んでしまっていた。
いや、事前に調べて部屋番は知ってたけど、初めて訪問したし。初めて見たし。こんなにすごいなんて誰が想像出来る?
「五重ロックかかってらぁ…」
こんな鍵生まれて初めて見たよ。コレッテ日本製デスカ?ここどこ?私は誰?世界なんですけど。ここだけなんか異空間なんですけど。
これ、どうやって入るのかすら分かんない。なんかノックしただけで赤外線ビーム出てきて丸焦げにされそうだ。…帰ろう。これじゃあ無理だ。
こんな徹底したセキュリティする人に喧嘩したから泊めてなんて言えない。あそこはもう寮じゃない。ホームだ。豪華なホームだと思え自分。しょせん庶民には到底追いつけない所に住んでいるのだ。あのお方は。
…というより会長、やっぱりお金持ちだったんだなー…
なんか気品が違うと思ったけど、まさかあそこまでとは。いやはや。
しかし、困った。
こうなると、もう俺に頼れる人が居なくなってしまった。
俺がいかに人脈ないかがうかがえる。………ただでさえメンタル弱ってるのに自分で自分にダメージ加えてどうする。
つーかそれほど俺って律にベッタリだったんだなぁ…
………………
だから自分、学習しろって。今はり…彼を思い出すのは禁句だって。目に塩水たまってきたじゃないか。


