そしてとうとう運命の翌朝。
「…律、俺出て行きます」
律が起き上がって、俺は真っ先に報告。
そして律の反応は一瞬眉をピクリと動かしただけだった。そして俺に一言。
「好きにしろ」
――――…それだけだった。
別に期待はしてなかった。
でも、心のどこかで引き止めてくれるはいかないまでも、なんか悲しむとかいろいろ反応してくれると思ってた。
俺は、律の中で勝手に特別な位置に居ると思ってた。恋愛とかそんなんじゃなくて、血のつながった兄弟ぐらいに考えてたんだ。だからいつでも律は俺の嫁で友達で妄想の中の主人公でヒーローだった。
だけど現実はこんなもんだ。
そう思ってたのは俺だけだった。
律が俺を特別に想ってくれていると勝手に勘違いしてたんだ。律が周りの奴よりも俺には優しかったから、勝手に勘違いしてた。
やっぱり、律にとって俺の存在は邪魔でしかなかった。
そりゃあそうだ。俺と居たって楽しい事なんて何もない。思い返せば律にとって嫌な事ばかりだ。
俺はまとめた荷物を持って部屋のドアから出て行った。
その時律は一言も言わず、まるで誰もいないかのような静寂だけが部屋にあったのだった。


