「…槙君は本当に優しいんだね」
…それを言うなら今のあなたの笑顔です。
俺の周りに居る人の視線が釘づけなのを感じる。四方から感じる。ごちそうさまです。
お互い弁当があるため、中庭のベンチってのが残念だ。人が少ない。食堂ならもっと視線を感じる事が出来たのに。
「…ねぇ、槙君」
「はい」
思わずうっとりするような笑みだ。本当にこの人将来ヒモだ。
「…俺、槙君の事好きになっても良い?」
「――――は?」
え、ちょっと待って。今この人なんて言った?
「俺、槙君の事気に入っちゃった」
俺は花峰先輩の言葉に逃亡したのでした。


