すると、ため息を吐きながら父さんと一緒にテレビを見ていたはずの律がやって来て俺に一言。
「貸せ」
俺は思わず持っていた掃除機を律に手渡す。
すると律はティッシュで俺の指を止血し、血の付いた床や掃除機の取っ手も拭き取り、大きい皿の破片を袋に詰めると、残った破片を掃除機で吸い取ってくれた。…主夫だ。さすがは嫁候補。母さんはその無駄のない動きに惚れ惚れしていた。
「洗い物は俺がするんで」
そう言うと、返事も聞かぬまま律は皿洗いを始めた。慌てて母さんが止めに入るが、きれいに無視。すると次は母さんが俺の方へやって来て耳打ちしてきた。
「槙、今時あんな素敵な人はいないわ!アンタ、嫁ぎなさい!」
「俺、男だぞ!?」
この母親、会わない間にとうとうボケやがったな!?息子の性別くらい覚えとけ!


