*4.1*

『雅。もぉ~…、ちゃんと話聞いてる!?』

「聞いてるって。で、なに、お母さん。」

「だから、今度の日曜日はおばあちゃんのさんかいきだから、あけといてね??」

「はーい、じゃあ私いくね。」


私、藍沢雅。
高校二年生。

憧れの高校に合格して早くも一年が過ぎ、今日は、二年生になってからはじめての学校。


「あ、雅お弁当!!」

「今日要らないっていったじゃん。」

『え、いらなかったの!?』


見ての通り、私の母、藍沢花梨はおっちょこちょい。


『いいよ、帰ってから食べる。いってきます。』


靴を履いて外に出ると幼馴染みの加藤雄大と日山理緒が待っていた。


『おっはよ、雅♪』

『おはよ。』

『雅、相変わらず朝は機嫌わりぃな。笑っ』

『これで私は普通なの。』


これが私の日常。
幸せと感じたこともなければ、不幸せと感じたこともない。

ごくごく普通の日常を壊すヤツが現れるのは、あと数時間後の話。