しばらくして、佐奈はフッと目を逸らし、自分の鞄を手にして教室を後にする。
張り詰めた空気が少し和らいだところで、郁があたしの元へ近づいてきた。
だけど、一言でも口を開けば泣いてしまいそうだったあたしは、郁がここにたどり着く前に教室を出て行った。
家に帰ってからのあたしは、ベッドに顔を埋めたまま、たくさん涙を流した。
悔しくてたまらなかった。
あたしにとって佐奈は大切な友達だった。
ううん、憧れている存在でもあった。
いつも落ち着いていて、同い年だけどお姉さんみたいで、相談もいっぱいしていた。
なのに、あたしのことをあんな風に思っていたなんて……。
洋介とも気まずくなってしまったし、佐奈とも喧嘩をしてしまった。
ううん、友達を失ったのかもしれない。
……今日は厄日だ。



