カラフル


「もう、暑苦しいっ」

顔を背けて、こっちを向いている顔を手のひらで押し返す。

すると、ナナはやっとあたしから離れてくれた。

だけど、そんなあたしたちを、側にいた3人はニヤニヤした顔で眺めてる。

「旦那、登場!」と冷やかしてくる朝香の台詞に、うんざりした顔のあたしは「違うから」とすぐに言い返す。

あたしの好きな人を知ってるくせに、みんなはナナを旦那扱いしてくる。

好きでもない相手と噂になったり、冷やかされるのは本当に嫌。

こんなに迷惑しているのに。

「なぁ、シャンプー替えたっしょ?」

お調子者のナナはいつもこんな感じで、あたしの気持ちなんかお構いなしだ。