「呼んでない」 肩に乗せられてる腕を掴んで。 「話題にもなってない」 前へ前へと逃げようとしてるのに。 「てか、放してよぉ」 力を入れているナナには、全く勝てない。 足をバタバタさせながら、泣きそうな顔をするあたし。 「あれ? 郁、シャンプー替えた?」 嫌がる反応を楽しんでいるかのように、ナナはあたしの髪に鼻を近づけてクンクンしてくる。