後ろの席で雑誌を囲むあたしたちの上から、覗き込むように割り込んできた男の子。
「洋介!」
びっくりした朝香はパタンと雑誌を閉じて、彼には見せないようにする。
「なんだよ、見せてくれてもいいじゃんか」
「だーめ。そんなに見たいなら、自分で買いなさいよ」
朝香と同じクラスの洋介くんは、同じ中学出身だからいつもこんな感じ。
顔を合わす度に、喧嘩口調で言い合う仲。
2人の会話を聞きながら、あたしと佐奈は顔を見合わせて笑ってるの。
どうしてかって言うと、朝香はひそかに洋介くんが好きだから。
中学2年のときから片思いをしているらしくて、素直になれない朝香が可愛いなって思えてくる。



