カラフル


「いつも一緒にいる、あの茶髪の男の子と……付き合ってるの?」

あたしの心の中を覗いたかのように、突然、先輩はナナのことを聞いてきた。

「え? あ、いや、え、別にあいつとは何もないです!」

完全に、動揺していた。

本当に付き合ってもいないし、ただの友達なのだから、焦ることなんか1つもないのに。

この話がナナに聞かれているんじゃないかって思ったり、先輩にそう見られていたことに驚いていたあたしは、声を上ずらせて否定する。

「ただのクラスメートだし、本当に何もなくて。あたしが好きなのは、ずっと……早坂先輩だったんです。だから、あんなチビ……あんな奴、何も関係ないです」

聞かれてもいないのに、口がペラペラ動く。

「チビ」って言った瞬間、しまったと思った。

まだナナがこの近くにいて、今の話を聞いているとしたら、絶対、傷ついたはずだから。

身長を気にしているナナ。

絶対、ショックを受けたよね?