カラフル


「なんで、ここにいるの!?」

チューイングガムをくちゃくちゃ噛むナナを見て、大声を出すあたし。

彼は倉庫の扉にもたれたまま、シレッとした顔でしゃがんでいた。

「だって、気になるんだもん」

「気になる、じゃないでしょ。どっかへ行ってよ!!」

そっぽを向く彼は、今日1日中、ずっとこんな感じで機嫌が悪い。

聞かなくても、理由はわかってる。

だけど、こんなところを先輩に見られたら絶対に誤解されるし、そうなれば協力してくれていた洋介くんに悪いと思った。

「ほら、あっち行って」

あたしはナナを無理やり立たせ、この場から追い出していく。

ブーブー文句を言ってくるナナを無視して、もう一度、倉庫の前で先輩が来るのを待っていた。