おとなしくなった彼を横目で見ながら、あたしは小さくため息をついた。
性格が悪いな、あたし。
本当はわかってるんだ、ナナが元気付けようとしてくれたことを。
なのに、うまくいかない人間関係や、楽しくない毎日に苛立って、ナナを八つ当たりの対象にしている。
ありがとうって言わなくちゃいけない人なのに、ナナなら何を言っても許してくれるだろうと思い、きつい言葉を平気で口にする自分。
「イライラしてて……ごめんね」
あたしはナナの隣に腰掛けて、素直に謝った。
今、自分が1人ぼっちじゃないのは、ナナがかまってくれているからだ。
だから、こんな態度をとっちゃいけない。
「……ありがとうね」
本当に感謝しているけれど、真っ直ぐ顔を見ることはできなかった。
うつむいたままのあたしを、クスクス笑うナナ。
顔を上げると、彼は穏やかな笑みを浮かべていて、あたしは妙に恥ずかしくなった。
すると突然、ナナはすっくと立ち上がり、学ランの上着をポイッとベンチに放り投げて、中に着ていた薄手のパーカーまで脱ぎ始める。



