「で、どうやって遊ぶわけ? こんな大雨の中」
帰り道とは違う方向へ走り出したナナは、バスに乗ってどこかへ行こうと提案した。
だけど、20分毎に停車するバスを待っている間に、辺りは薄暗くなり、パラパラ雨が降ってきたと思いきや、5分後にはこんな土砂降りの雨に変わっていた。
停留所のベンチで雨宿りをしていると、鉄板で出来た屋根がうるさいほどにタンタンタンタン……と音を立てる。
「ごめんなぁ」
なかなかバスが来なくてイライラしているあたしを見て、ナナはしょんぼりした表情をする。
「バスがきたら駅まで乗ろうね」
台風で電車が止まっちゃったら、完全に帰れなくなってしまう。
そうなる前に早く来てほしいのに、バスは全く来る気配がない。
ベンチから立ち上がり、道路を眺めるあたしは、遊ぶ気がないことを示す。
少し口調がきつくなっているのかもしれない。
それは、自分でもなんとなく気づいていた。
素っ気ないあたしの態度を、怒っていると判断したのか、ナナは素直にうんと頷くだけ。



