校門を出たとき、あたしはうつむきながら、つばをごくりと飲んだ。
もう1週間、2人の声を聞いていない。
笑顔も見ていない、と思ったら自然と目に涙が溢れてくる。
すると、突然、ナナはあたしの腕をグイッと引っ張った。
「遊ぼう! どこ行く?」
ニカッと白い歯を見せて、小さな子供のようにはしゃぐ彼。
「え、台風が来るって」
何を言い出すのかと驚きながら、あたしは顔を歪める。
「せっかく学校が休みになったんだから、遊ばなくちゃ損だって!」
ナナはそう言いながら、あたしを引きずるように前へ前へ歩いていく。
「だめだって! 昼には来るんだから!」
と言っても、彼は。
「デートしよ、デート!」
あたしの話を全く聞かない。



