翌日。
「寄り道はせず、真っ直ぐ帰るように」
朝のホームルームで、担任の先生はすぐにあたしたちを家へ帰らせようとする。
最初から数名のクラスメートは登校していなくて、あたしは強い風を振り切りながら、頑張って歩いてきたことにガッカリしてしまう。
天気予報では、昼頃に台風が来ると言っていた。
どうせ近くを通り過ぎるだけだろうと思っていたけれど、どうやらそうでもないらしい。
学校側は、電車やバスが止まってしまう前に、生徒たちを帰らせたいのだろう。
鞄を持って、一斉に教室を出るあたしたち。
窓の向こうはまだ雨が降っていなかったけど、この時間を夜のように感じてしまうくらい、外は曇ってる。
「郁ぅ、一緒に帰ろうぜ!」
靴箱の前で、ナナが声をかけてくる。
うんと頷きながら、あたしは上靴を脱いだ。



