「練習、頑張ってください!」
ペコリと頭を下げると、先輩はにっこり微笑んで、ありがとうと言ってくれた。
やばい、顔がすごくにやけちゃう。
先輩は背が高くて、爽やかな感じで、1つしか歳が変わらないのにすごく大人っぽい。
先輩は「じゃあね」と言って、この場から去ろうとする。
手を振って見送ろうとしたとき、突然、先輩の前にナナが立ちはだかった。
「・・・もしかして、ハヤサカセンパイ?」
上から下、下から上へと、何度も先輩の姿を凝視するナナ。
はてなを浮かべた表情で、先輩はうんと頷く。
「ふーん」
口を尖らせるナナは、目を細めて、先輩にあごを突き出していく。
ナナは背が低いから貫禄もないし、先輩もきっと変に感じるだけだと思うけど、この体勢は完全に喧嘩を売っていると思う。
焦ったあたしは、ナナの腕をグイッと引っ張り、その辺に投げ捨てて、先輩に「いってらっしゃい」と笑いかけた。



