自分の足元を眺めながらボーっとしていたあたしの目は、一気に見開いた。 そんな相手がいたことを知らなかったから。 「あぁ、あの子とはまだ連絡取ってるよ。今の女とダメになったときのために、一応ね。でも、野島佐奈はモデルだし、連れてると気分いいじゃん」 ケタケタ笑いながら、彼氏はそう返事をした。 「悪い奴だな」と言われても、ずっと笑ってた。 会話を聞かれているとも知らず、彼氏はそれからも「簡単に付き合えた」とか友達にあたしの話をしていく。 まるで、別人を見ているようだった。