「これ、この前もらった手紙の返事……」

「あぁ、うん。わかった、渡しておくよ」

バスケ部の男子から告白されていたあたしは、間に入ってラブレターを渡してきた同じクラスの男子に、返事を書いた手紙を渡す。

「……嫌な思いをさせたなら、ごめんな」

数日前、手紙を受け取る時のあたしの表情を見ていたからだろう。

彼は頭をポリポリかきながら、気まずそうな態度で謝ってくる。

ううん、と首を横に振るあたし。すると、彼は柔らかな笑みで、こう言ってきた。

「でも、アイツ、本当に野島のことが大好きでさ。ずっと片思いしてたんだよ。だから、その気持ちだけは受け取ってあげてほしい。……告白って簡単に出来ることじゃないと思うし」

確かに、告白なんて簡単に出来るものじゃない。

だけど、簡単にする人間を知っていたあたしは、素直にうなずくことが出来なかった。