カラフル


本当に馬鹿でガキっぽいし、担任の先生も呆れて怒ることを辞めたくらい。

別に嫌いってわけじゃないけれど、こんな奴とカップル呼ばわりされるのは絶対にやだ。

観察するあたしの視線に気がついたのか、ナナは会話を止めて、こっちに振り返る。

「郁ぅ、まだ怒ってんの?」

目を逸らすあたしの顔を、腰を曲げながら覗き込んでくるナナ。

別に、と素っ気なく答えるあたし。

あんまり認めたくはないけれど、こんなナナにも最高の武器と言えるものが1つある。

「放課後、恵比寿屋のカレーパンおごるから許して!」

ナナは両手を合わせて、さっき抱きついてきたことを謝ってきた。

正直、そこまで怒ってはいなかったんだけど。

「許す」

食い意地がはっているあたしは、カレーパンにつられてしまった。

そんなあたしたちを見て、朝香と佐奈はクスクス笑ってる。

「じゃあ、今日は一緒に帰ろうな!」

ナナはそう言って、あたしの頭に手のひらを置き、にっこりと微笑んだ。