「っ………最低」
私はその場に、短い文で吐き捨てる。
「ハハ…まぁ、そんな怒るなって!冗談だって!…お前、名前なんていうんだ?」
「…知らない怪しいおじさんには教えられません」
「おまっ………俺はまだ24だぜ!?」
おじさんは酷いよな、と唇を尖らせていじける。
本当。
さっきからこの人にペースを乱されてしまう。
「てゆーかさ、人に名前を聞くときはまず、自分が名乗るもんじゃないの?」
キツイ口調でそう言うと
「…まぁ、言われてみればそうだわな。
俺は、荒井慶輔(アライケイスケ)
ついこの間、大学を卒業したばっかだ。ちなみに、担当教科は数学」
そっちは?と目線で訴えられる。
はぁ、と一言溜め息をついた。
「浜崎……浜崎菜摘」
