先生、あのね。



「ところでよ。お前…ここの生徒だよな?何年だ?」


「えっ……に、二年だけど…」


少し警戒ぎみに見ると、その男の人は目元を緩めてフッと微笑んだ。


「ハハッ…そんな警戒すんなよ。別に怪しいもんじゃねえって」

「…女子高生の膝を勝手に借りて昼寝なんて、訴えられるレベルだと思うけど」


小さく反論をすると、その人の口元がにやっと三日月をかいて微笑んだ。


「あんなところで寝るお前もお前だろ。俺じゃなかったらとっくに襲われてたぜ?…………それとも…」


その瞬間に
ガッと効果音が出そうなほど、私は腕を強く捕まれた。

そして彼はつっ、と私の顎を人差し指でなぞる。



「………襲ってほしかった…とか?」


「っ!!??」


途端にかあっと顔が熱くなる。

そして勢いよく、その人から飛び退いた。



「っな……っ…なっ…!!??」

口をパクパクさせながら、真っ赤な顔でその人を見る。


だが、その人はいきなり吹き出した。


「…っはははっ…悪かったって!大丈夫だよ、俺だってさすがに女子高生に興味はねぇよ。
安心しな」


盛大に笑われた後で、自分がからかわれたんだということに気付いた。