「これは、こうなるわけ。わかった?」
低すぎない低さのこもった声。
先生の声の特徴。
そんなところも好きだよ。
「音羽、理解してる?」
見とれているあたしは、授業さえろくに聞いていないのに理科だけは理解できる。
新太先生だから。
でも・・・
『わかーんないっ』
わかんないふりするの。
そしたら、
「じゃあ、放課後、理科準備室で教えるから。」
っていつも言ってくれるから。
先生は、バスケの顧問だから忙しいことわかってる。
少しの時間だけでいいから先生といたいの。
先生は、あたしの学年の先生じゃないから。
理科の授業と。
運が良ければ放課後しか
話したりできない。
だからただ、体育館でバスケしてる先生を見つめてるんだ。

