あたしの好きな人は…



『先生おねがいっ』

「何」


先生は、目を少し細めてあたしを見た。

『夏休み、1回でいいから会って』


こんな発言をする生徒は初めてみたのか、
先生は目を見開いてびっくりした表情。
でもそれはほんの一瞬ですぐに首を横にふった。

「だめ」

『なぁんで…』


どうしていっつもあたしが言ってほしい答えだしてくれないの。
先生のばかっ。
1回だけならいいじゃん。

教師と生徒だからだめなの?
あたし、会いたいよぉ…

「部活忙しいし、普通に考えてだめだろ。」

部活…
忙しいことくらいわかってるよ。
普通に考えてってなによ。

普通の考えがわかんない。


『も-…ぃいよ。ばかっ…』

先生なんか知らない。
あたしは、どうせただの生徒だもん。
あたしにとって先生は特別でも。

先生にとってあたしは特別じゃないんだよね。