海賊王子ヒースコート


「大丈夫か?」

三人が出ていった後、真っ先に飛び出した言葉は本人が思っていた以上、冷静さに欠けていた。


ヒースコートは衣服を抱きしめカタカタと震えるアイリーンに近づき、そっと頭に手を置いた。


「もう、大丈夫だ」


安心させるように紡がれた言葉。


優しい手の温もり。


アイリーンはふと、思い出した。



――大丈夫だよ



そう言って、優しく頭を撫でてくれた記憶の中の男の子。


(この方と、あの子が…重なるなんて…)



ありえない。


でも、嬉しい。


彼の掌があったかくて、堪えていた涙腺が一気に崩壊する。


「っ…」


アイリーンは、声を押し殺して泣いた。