「うふふ、堅苦しい挨拶はなしでいきませんこと?早くお二人の幸せな姿が見たいですわ」 ミルフォード夫人ことヴィンセントの妻、エヴァンジェリナが無邪気に笑った。 「はい」 他の客も心待ちにしているであろう瞬間。 皆から期待を含んだ視線を浴びつつ、ギルバートは大広間にある階段に上がった。 高い位置から客を見下ろし、決まり文句のような挨拶を始める。 「皆様、今夜は私達の婚約式のためお集まり下さり――」