「ジャ~マラ!」

一声鳴き、陸地に立つアイリーン目掛けて急降下する。

ここでヒースコートはジャッキーの意図に気づいた。


「ジャッキー、お前…」


とんだお節介カラスである。

しかし、ここまでされたら「乗ってやろうじゃないか」と前向き思考になるのがヒースコートだ。


「アイリーン!!!!」

だんだんと近くなる彼女との距離。

ヒースコートは恋人に向かって叫んだ。


「来い!!!!」


差し出された手。

アイリーンは地面スレスレまで降りてきたヒースコートに駆け寄り、躊躇いなく抱き着いた。

そして、ジャッキーは再び飛翔する。


「ちょっ!?アイリーン!?」

「わお。やるね。我が息子は」

「兄上ぇ!僕も連れてって~!!」

ヴィンセント達の声が徐々に遠くなる。

船に追いつこうと、ジャッキーはスピードを上げた。


「ヒースさん…」

「ん?」

アイリーンはヒースコートに抱きしめられたまま頬を赤らめた。

「ありがとうございます」

「……危険な船旅になるぞ?」

「わかっています。大丈夫です。ヒースさんと一緒なら…」


太陽が昇る。


「アイリーン、こっち向け」

「はい?んっ…!?」


口づけを交わす二人の未来をも、明るく照らすかのように。







〈END〉