海賊王子ヒースコート


「アイリーン…」

甲板にて、徐々に明るくなる水平線を背にアイリーンを見つめる。

ヒースコートの心は揺れていた。


(本当は、連れて行きたかった…)


一緒にいた数日間が忘れられない。

あの日々を思い出にしたくない。


(だが……アイリーンは根っからのお嬢様だ)


キャンディスのように男勝りなタイプでもない。

海賊船には向かないだろう。


「ジャマラ!ジャマラッ!」

ジャッキーがヒースコートの寄り掛かる船縁に止まった。

「ジャッキー、お前ならどうしてた…?自分に正直になるか?」

誰にも言えない心の葛藤をジャッキーにだけそっと囁く。

もちろん答えは返ってこない……はず…。


「ジャ~マラ!!」


いきなりジャッキーは海中に飛び込んだ。

「ジャッキー?」