海賊王子ヒースコート


「ヒースさん…!」

「来たか」

ヒースコートはギルバートを睨みつけるも、何も語らずにアイリーンの手を引いた。

「アイリーン、もう船が出る。降りた方がいい」

「わかりました…」


別れの時間。

降りるように促されたアイリーンはタラップへとゆっくり歩き出した。

ギリギリのところまでエスコートするヒースコート。

無言で別れるのが寂しくて、アイリーンはタラップを降りる前に口を開いた。


「ヒースさん……また…」

「ああ…」


会話はそれだけだった。

もっと言いたいことがあるはずなのに、言葉が喉につかえて出てこない。

アイリーンは先に降りて待っている兄やアーロンのところへ走った。


「出航!!!!」


ダリウスの大声がこだまする。

太陽が昇り始めた。