海賊王子ヒースコート


「ギルバート様、お話があります」

ハッキリした声で言えば、彼はアイリーンから目線をそらすことなく頷いた。

ヒースコートの視線を感じつつもアイリーンはギルバートと二人、人の少ない船尾の方へ移動する。

そして…。


「ギルバート様……賭けはどうなったのですか…?」

「………」

裁判でヒースコートが死刑になったらアイリーンはギルバートのもの。

しかし、ヒースコートが生き残った場合は…。


「身を引いて、下さるのですか…?」


ギルバートの鋭い眼差しに臆することなく視線を合わせる。

答えを待つこと、五秒。

唐突にギルバートは目を閉じた。


「……良いでしょう。婚約は解消します」

「ほ、本当ですか…!?」

「はい。ですが…」