海賊王子ヒースコート


「余裕そうだね。うちの息子は」

隣に座るアーロンも見ていたのだろう。

アイリーンに囁きながら彼は時間を確認した。

「後一分か。結構ギャラリーが多くなったね」

嘆願者の席の後ろには傍聴席がある。

最初は静かだった法廷内だが、開始一分前にもなると傍聴席に集まるギャラリー達でガヤガヤと騒がしくなり始めた。


「クソッ!まだ来ねぇのか!?」

苛立つレイバンは先程からチラチラと出入口を確認していた。

未だランバート達はやって来ない。

アイリーンは追及者の席にいるギルバートを見つめた。


(ギルバート様との賭け…。今のままでは…)


嘆願者は四人。

嘆願書が一枚。

確実にギルバートが有利だ。


「静粛に!!」


突然ヴィンセントが声を上げた。

うるさかった外野の声が静まり、皆が一様に裁判官の方を見る。

「これからクレマン海賊団の船長ダリウス・スミスと、同じくクレマン海賊団の船員ヒースコート・サリンジャーに対する裁判を始めます」