ヒースコート達は手錠をされたまま軍の内部を歩かされた。
「“追及”は私が行う。多くの嘆願者がいなければ貴様らは確実に処刑だ」
ギルバートの挑発的な眼差しを受け、ダリウスはニヒルな笑いを返した。
「ほざけっ!クレマン海賊団ナメんじゃねぇぞ!」
裁判などと呼んでいるが、要は「追及」と「嘆願」のガチンコ勝負だ。
「追及」は軍の人間が海賊の罪を並べ立て、「有罪だ!」と主張すること。
一方で「嘆願」は海賊の赦しを訴える側で、こちらは庶民から貴族まで誰でも行える権利を持っている。
嘆願者がいなかったり少なかったりすると、追及が有利となり、海賊は有罪判決を受け即処刑を言い渡される場合が多い。
罪の重さにもよるが、海賊一人に対し約五十から百人くらいの嘆願の声がないと逆転は不可能。
そのため、ほとんどの海賊が有罪判決を受け処刑されてしまうのが実情だ。
「俺達は仲間を信じてる」
不意にヒースコートが言った。
ギルバートの足が止まる。
「海軍なんかに潰されやしない!」
たっぷり三秒、ヒースコートの強気な瞳を見下ろすと、ギルバートは薄く笑った。
そして…。
「入れ」
目の前の重たい扉が開かれる。
その先はお待ちかね。
法廷だった。



