暗闇でもその存在を主張する黄金の車がガルニカの安宿に到着したのは、夜の十時を過ぎた頃だった。
あらかじめ集合場所をこの宿に決めていたため真っ直ぐここを目指したのだが、よくよく考えると国王陛下がご一緒だ。
「な、なあ。王様がこの宿ってヤベーかな?」
冷や汗をかくレイバンにアーロンは軽く笑ってみせた。
「あはは、大丈夫だよ。現役時代はもっとヒッドイ生活していたからね。宿に泊まれるだけ贅沢さ」
現役時代とはもちろん、若かりし海賊時代のことだろう。
「父上~!本当にこんな小汚い宿に泊まるの?他にもイイ宿はたくさんあるのに!」
「はいはい、ファビウス。君も少しは庶民の暮らしを体験してごらん?結構楽しいよ?」
我が儘息子の肩を抱き、安宿の扉をくぐらせる。
そんな親子の後ろ姿を見守りつつ、アイリーンはヒースコートに思いを馳せた。



