海賊王子ヒースコート


「私は…海賊ではありませんが、皆さんが好きなんです。クレマン海賊団の皆さんが…」

最初は恐ろしかった。

捕まえられて、無理矢理海賊船に乗せられて。

乱暴を働こうとする奴らもいたが、荒っぽい人間ばかりじゃないと気づいた。

それから…。


「“慈悲の心を忘れるな”」


アイリーンの口から零れた言葉にオースティン王は目を見張った。

「この掟が、とても心に残っているんです」

クレマン海賊団が最も重視する掟。

これを第一に守ろうとする海賊団が、最低な人間の集まりだとはどうしても思えない。


「……嬉しいね」


国王陛下はポツリと呟いた。

そして懐かしむように目を細めて微笑する。

「その掟を考えたのはタイタスと私なんだよ」