「テメー、俺様に向かってバカだと?」
「事実です。第一、脱走する気があるなら、すでにしています」
どこに隠していたのだろう。
ヒースコートはピッキング用のピックを手に持ち、船長に見せた。
「テメー!それっ」
「これを使えば手錠は簡単に外れます。けれど、手錠を外して檻から脱走したところで、ここは海軍の本拠地。敷地内から出る前にまた捕まるのが落ちです」
「だから使わねぇってか?」
「はい。それに、ランバート達はおそらく嘆願の声を集めているでしょう。なら俺達は大人しくして、良い印象を与えた方が都合がいい」
「良い印象ねぇ…」
ヒースコートの考えに納得するも、ダリウスは頭を捻った。
「でもよ。良い印象たって、どうすりゃいいんだ?ずっと黙ってろってか?」



