海賊王子ヒースコート



 さて、アイリーン達が馬車に揺られていた頃、海軍本部の地下牢ではヒースコートとダリウスが暇を持て余していた。


「あ゙あ~、つまんねぇ~」

「うるさいです、船長」

同じ檻に入れられた二人。

冷たいベッドに腰かけ、置いてあった聖書を読むヒースコートにダリウスは愚痴をぶつけた。

「だってよぉ、一週間も檻の中だぜ!?気ぃ狂うわっ」

「一週間程度じゃ狂いませんよ」

「暴れてぇー」

「やめて下さい。近所迷惑です」

二人ともまだ怪我は完治していないが、普段のペースを取り戻していた。


「なあ、ヒースコート」

「なんですか?」

読んでいた聖書をパタンと閉じる。


「脱走しねぇ?」

「バカですか」


即答され、ダリウスのこめかみに青筋が浮かぶ。